買った側が自動的に立場を引き継ぐ。届出は事後
法第11条第1項は「特定施設のすべてを譲り受け、又は借り受けた者は、当該特定施設に係る当該届出をした者の地位を承継する」と定めています。「承継することができる」ではなく「承継する」です。手続をして初めて引き継ぐのではなく、譲受け・借受けの事実によって地位が移ります。
本サイトは e-Gov法令検索で確認した条文を整理したものです。指定地域の範囲・規制基準の数値・届出の様式・添付書類は、都道府県知事(市の区域内は市長)と市町村が定めます。実際の手続きは、工場・事業場のある市町村の公害担当課にご確認ください。
地位は自動的に移る
法第11条は3つの項でできています。
法第11条の構造
- 第1項 譲受け・借受け特定施設のすべてを譲り受け、又は借り受けた者は、地位を承継する。
- 第2項 相続・合併・分割相続人、合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人、分割により承継した法人は、地位を承継する。(分割は特定施設のすべてを承継させるものに限る)
- 第3項 届出承継があつた日から三十日以内に、その旨を市町村長に届け出なければならない。
第1項と第2項が「承継する」という効果を定め、第3項が届出を義務づけています。つまり届出は、すでに起きた承継を報告するものです。届出をしなければ承継が起きない、という構造ではありません。
だから、譲り受けた側は、届出の前から規制基準の遵守義務(法第5条)を負う立場になります。引き継いだ設備が基準に適合しているかは、取引の前に確認しておくのが確実です。
承継が起きる場面
第11条が挙げる場面
| 場面 | 条文 | 承継する者 |
|---|---|---|
| 特定施設のすべてを譲り受けた | 第1項 | 譲受人 |
| 特定施設のすべてを借り受けた | 第1項 | 借受人 |
| 相続があった | 第2項 | 相続人 |
| 合併があった | 第2項 | 存続法人/新設法人 |
| 分割があった(特定施設のすべてを承継させるもの) | 第2項 | 承継した法人 |
2026年9月13日に e-Gov法令検索で法第11条を確認しました。具体的な取引がどれにあたるかは個別の事情によります。市町村にご確認ください。
「借り受けた」が入っている点に注意してください。所有権が移らないリースや賃貸でも、特定施設のすべてを借り受ければ第1項の承継が起きます。
届出は30日以内
法第11条第3項は「その承継があつた日から三十日以内に」と定めています。設置届(30日前まで)と違い、事後の届出です。
起算点は「承継があつた日」です。契約日なのか、引渡日なのか、登記の日なのかは条文に書かれていません。取引の形によって変わりうるので、市町村の公害担当課にご確認ください。
届出の向きの一覧はこちらにまとめています。→ 氏名が変わったとき・やめたときの届出
「すべて」という限定
第1項も第2項も「特定施設のすべて」と限定しています。一部だけを譲り受けた場合は、第11条の承継にあたりません。
一部か全部かで扱いが変わる
| 状況 | 条文 | どうなるか |
|---|---|---|
| 特定施設3台すべてを譲り受けた | 第11条第1項 | 地位を承継。30日以内に届出 |
| 特定施設3台のうち1台だけを譲り受けた | 第11条の適用外 | 譲渡側・譲受側それぞれの扱いを市町村に確認 |
| 工場ごと(特定施設を含めて)譲り受けた | 第11条第1項 | 地位を承継。30日以内に届出 |
| 会社を合併した | 第11条第2項 | 地位を承継。30日以内に届出 |
2026年9月13日に e-Gov法令検索で確認しました。一部譲渡の場合の当てはめは条文が直接定めていません。市町村にご確認ください。
状況別の考え方
工場ごと事業を買収した
親会社が子会社を吸収合併した
機械をリースで借りることになった
個人事業主が亡くなり、家族が事業を継いだ
法人成りして、個人事業から会社に変わった
よくある取りこぼし
届出をして初めて承継が起きると思っていた
第1項・第2項が「承継する」と定め、第3項が届出を義務づける構造です。
買った側が新たに設置届を出そうとした
承継なら第11条第3項の届出です。新規の設置届ではありません。
リースなので承継にあたらないと思っていた
第1項は「借り受けた者」も対象にしています。
一部だけの譲渡でも承継だと思っていた
条文は「特定施設のすべて」と限定しています。
売った側が廃止届を出せば足りると思っていた
承継の場合は第11条第3項の届出です。どちらにあたるかを市町村にご確認ください。
引き継いだ設備が基準に適合しているか確認していなかった
承継した側が法第5条の規制基準の遵守義務を負います。
よくある疑問
「承継があつた日」はいつですか
売る側は何か届け出る必要がありますか
一部の機械だけを譲り受けた場合は
承継届を出し忘れていました
承継したあと、基準に適合していないことが分かりました
確認に使った一次情報
- 騒音規制法 第2条第1項(特定施設の定義)/第3条(地域の指定)/第5条(規制基準の遵守義務)/第6条(特定施設の設置の届出)/第7条(経過措置)/第8条(特定施設の数等の変更の届出)/第9条(計画変更勧告)/第10条(氏名の変更等の届出)/第11条(承継)/第12条(改善勧告及び改善命令)/第13条(小規模の事業者に対する配慮)e-Gov法令検索
- 騒音規制法施行令 第1条(特定施設)/別表第一e-Gov法令検索
2026年9月13日に e-Gov法令検索で確認した条文です。指定地域・規制基準・様式は自治体が定めます。工場・事業場のある市町村の公害担当課にご確認ください。
事業を引き継ぐなら、什器と設備の棚卸しも同時に
引き継いだ設備の配置を見直す場面です。変更の可否は建物の管理者にご確認ください。
- 価格・在庫・納期は各社公式サイトでご確認ください
- 設置できる什器は建物の条件により異なります
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