2つの法律が同時にかかると、頻度がそろわない
ビルの水まわりには水道法(簡易専用水道)と建築物衛生法(特定建築物)という2つの制度があります。線の引き方が違うので、片方だけかかる建物も、両方かかる建物もあります。そして両方かかるとき、同じ「貯水槽の清掃」でも条文の書き方が違います。
本サイトは e-Gov法令検索で確認した条文を整理したものです。届出の要否・様式・検査機関の選び方・自治体の上乗せ基準は、水道事業者(水道局)と保健所によって運用が異なります。実際の手続きは、お住まいの地域の水道局または保健所にご確認ください。
線の引き方が違う
2つの制度の入口(2026年9月13日確認)
| 水道法(簡易専用水道) | 建築物衛生法(特定建築物) | |
|---|---|---|
| 何で線を引くか | 水槽の有効容量の合計 | 延べ面積 |
| 基準 | 10立方メートルを超える | 3,000平方メートル以上(学校等は8,000) |
| 用途の限定 | なし(水源が水道の水のみであること) | あり(興行場・百貨店・店舗・事務所・学校・旅館など) |
| 根拠 | 法第3条第7項、施行令第2条 | 法第2条第1項、施行令第1条 |
出典:水道法・同施行令、建築物衛生法・同施行令。基準が別なので、片方だけかかることがあります。
小さいビルでも水槽が大きければ水道法だけかかります。逆に、大きいビルでも直結給水で水槽がなければ、建築物衛生法だけです。
それぞれの入口は別ページにまとめました。→ 貯水槽が10㎥を超えたら簡易専用水道/事務所が3,000㎡を超えたら保健所に届出
両方かかるのはどんな建物か
4つの組み合わせ
延べ面積3,000㎡超・水槽10立方メートル超
延べ面積3,000㎡超・水槽10立方メートル以下
延べ面積3,000㎡未満・水槽10立方メートル超
延べ面積3,000㎡未満・水槽10立方メートル以下
中〜大規模の事務所ビルは、1つ目に当たることが多くなります。受水槽と高置水槽を合わせれば10立方メートルは超えやすいからです。
貯水槽の清掃:年1回か、1年以内ごとか
同じ作業なのに、条文の言葉が違います。
貯水槽の清掃の頻度
| 法令 | 条文の言葉 | 実務上の読み方 |
|---|---|---|
| 水道法施行規則 第55条第1号 | 水槽の掃除を毎年一回以上定期に行うこと。 | 年(暦年)ごとに1回以上 |
| 建築物衛生法施行規則 第4条第1項第7号 | 貯水槽の清掃を……一年以内ごとに一回、定期に、行うこと。 | 前回から1年を超えない間隔で |
出典:水道法施行規則第55条第1号、建築物衛生法施行規則第4条第1項第7号。
両方の法律が適用される建物では、それぞれの義務を両方とも満たす必要があります。たとえば1年目の1月と2年目の12月に実施すると、暦年では水道法の「毎年一回以上」を満たしますが、間隔は約23か月なので建築物衛生法の「一年以内ごとに一回」は満たしません。
結果として、両方かかる建物では「前回から1年を超えない」運用になります。どちらか一方を満たせばよい、という条文の書き方ではありません。
建築物衛生法にしかない義務
水道法の管理基準(施行規則第55条)は4つだけです。建築物衛生法のほうが項目が多くなります。
水まわりの義務の比較
| やること | 水道法 | 建築物衛生法 |
|---|---|---|
| 水槽・貯水槽の清掃 | 毎年1回以上 | 1年以内ごとに1回 |
| 汚染防止の措置 | あり(頻度の定めなし) | あり(頻度の定めなし) |
| 異常を認めたときの検査 | あり | あり |
| 健康被害のおそれで直ちに給水停止 | あり | あり |
| 遊離残留塩素の検査 | 定めなし | 7日以内ごとに1回 |
| 飲料水の水質検査 | 定めなし | 6月以内ごとに1回 |
| 外部機関の検査を受ける | 毎年1回以上 | 定めなし |
出典:水道法施行規則第55条・第56条、建築物衛生法施行規則第4条。「外部の検査を受ける義務」は水道法だけにあります。
残留塩素7日以内ごとと水質検査6月以内ごとは、建築物衛生法にしかありません。→ 事務所ビルの水は7日ごとに検査する
逆に「登録を受けた検査機関の検査を毎年受ける」は水道法にしかありません。→ 簡易専用水道の検査は毎年1回以上
窓口も別
制度が違えば、確認する先も変わります。
確認先
- 水道法(簡易専用水道):お住まいの地域の水道局と保健所
- 建築物衛生法(特定建築物):所在地を管轄する保健所
- 小規模貯水槽水道(10立方メートル以下):自治体の条例・要綱によるので水道局へ
どちらも保健所が関わりますが、根拠法が違うので担当が分かれていることがあります。問い合わせるときは「水道法の簡易専用水道の件で」「建築物衛生法の特定建築物の件で」と最初に言うと早いです。
建物にかかる制度全体の地図は、こちらにまとめています。→ 事務所が3,000㎡を超えたら保健所に届出
よくある取りこぼし
どちらか片方だけだと思っていた
線の引き方が違います(容量と面積)。両方かかる建物があります。
「毎年1回」と「1年以内ごとに1回」を同じだと思った
暦年で1回ずつでも、間隔が1年を超えることがあります。両方かかる建物では双方の義務を満たす必要があります。
水道法にも残留塩素の検査義務があると思った
施行規則第55条は4号だけです。残留塩素7日以内ごとは建築物衛生法の規定です。
建築物衛生法にも外部検査の義務があると思った
「登録を受けた者の検査を受ける」義務は水道法第34条の2第2項にあります。
水槽がないビルでも簡易専用水道だと思った
定義は水道から受けた水を貯める水槽が前提です。直結給水なら対象外です。
両方かかるので検査も2回必要だと思った
条文上は別の義務ですが、実務での運用は水道局と保健所にご確認ください。本サイトでは断定しません。
確認に使った一次情報
- 水道法 第3条第7項(簡易専用水道の定義)/第34条の2(管理と検査)/第34条の3(検査の義務)e-Gov法令検索
- 水道法施行令 第1条(専用水道の基準)/第2条(簡易専用水道の適用除外の基準)e-Gov法令検索
- 水道法施行規則 第55条(管理基準)/第56条(検査)e-Gov法令検索
2026年9月13日に e-Gov法令検索で確認した条文です。自治体が条例で上乗せの基準を定めていることがあります。お住まいの地域の水道局または保健所にご確認ください。
設備の点検にあわせて、什器と配置も見直す
水まわりの点検で立ち入る範囲は、什器の置き方で変わります。配置は管理会社にご確認ください。
- 価格・在庫・納期は各社公式サイトでご確認ください
- 設置できる什器は建物の条件により異なります
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一次情報の確認先
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