「何センチ以上」を探しても、出てこない
オフィスの通路幅を調べると、80cm・120cm・1.6mといった数字が出てきます。これらは出どころの違う数字で、そのまま自分のオフィスに当てはめられるとは限りません。先に「何がどこで決まっているのか」を整理してください。
なぜ一律の数字が出てこないのか
通路幅に関係する規定は、目的の違う複数の法律に分散しています。そしてそれぞれ、対象とする建物や場面が違います。
通路に関係する主な法律と、その目的
| 法律 | 何のための規定か | オフィスへの当てはまり方 |
|---|---|---|
| 建築基準法 | 避難のための廊下・階段・出口の確保 | 建物の用途と規模で対象が変わる。建物の確認申請時に決まっている |
| 消防法(+火災予防条例) | 避難上必要な施設を塞がないこと | 幅の数値というより「物を置かない」が中心 |
| 労働安全衛生法・同規則 | 作業者の安全(転倒・挟まれの防止) | 作業の種類ごとの規定。事務作業向けの一律の寸法ではない |
| バリアフリー法・自治体の条例 | 車いすでの通行 | 対象となる建物の規模・用途が定められている |
「オフィスの通路は何cm」という単一の答えが無いのは、そもそも同じことを決めている法律が無いためです。
本サイトでは、一般の事務室の通路について具体的な寸法を示しません。建物ごとに前提が違い、誤った数字を当てはめると避難の安全に関わるためです。
本サイトは一般的な整理です。実際に必要な届出・設備・寸法は、建物の用途・規模・構造によって変わります。着工前に必ず所轄の消防署と、建物の設計を担当した建築士(または内装業者)にご確認ください。
どこで決まるのか
実務上、いちばん確かな出発点は建物の図面です。
自分のオフィスの通路がどう決まっているかを知る手順
- ① 建物の平面図を手に入れる管理会社か、入居時の資料にあります。避難経路が図示されていることが多いです。
- ② 避難経路がどこかを確認する非常口までの経路が、確認申請の前提になっています。ここは塞げません。
- ③ 消防の避難経路図と照らす館内に掲示されていることがあります。
- ④ 所轄消防署に相談するレイアウト案を持って行けば、避難上の問題を指摘してもらえます。
- ⑤ 内装業者・建築士に図面で見てもらう建築基準法上の廊下の扱いは、図面がないと判断できません。
実務でどう決めるか
法令の数値を探すより、次の3つを満たすかどうかで考えるほうが実務に合います。
レイアウトを決めるときの3つ
- 非常口までの経路を塞いでいないか(いちばん重要。ここは数字の問題ではありません)
- いすを引いた状態で人がすれ違えるか(実際に机といすを置いて歩いてみる)
- 車いすや台車が通れる必要があるか(必要なら、その幅を確保する)
とくに2つ目は、図面上では通れても実際には通れないことがよくあります。いすを引いた状態で測ってください。カタログ上の机の寸法だけで並べると、必ず狭くなります。
3つ目に該当する場合は、対象となる建物の規模・用途によって条例上の基準が定められていることがあります。自治体の担当課にご確認ください。
奥行きの浅い机や、通路を確保しやすい什器を見る
実際に必要な通路幅は、避難経路と利用者の状況によって変わります。図面と実測でご確認ください。
- 価格・在庫・納期は各社公式サイトでご確認ください
- 設置できる什器は建物の条件により異なります
- 工事を伴う場合は所轄消防署への届出が必要になることがあります
収容人員という別の数字
通路幅とは別に、収容人員という数字があります。これは消防法令で用途ごとの算定方法が定められているもので、実際の出社人数とは違います。
収容人員が一定以上になると、防火管理者の選任が必要になります。東京消防庁は、非特定用途(事務所を含む)は防火対象物全体の収容人員が50人以上としています。
算定方法は用途ごとに定められており、本サイトでは示しません。建物の管理会社が把握していることが多いので、まずそちらに確認してください。詳しくは防火管理者のページで扱います。
間仕切りを立てるとき
間仕切りは通路を狭めます。とくに天井まで立てると、避難経路そのものが変わります。
間仕切りと通路の関係
非常口までの経路上に立てようとしている
行き止まりの区画ができる
扉の開く向きが通路に出る
置き型のパーテーションで仕切る
よくある失敗
ネットで見た数字をそのまま使う
出どころの違う数字が混ざっています。対象となる建物・場面が違います。
図面を見ずにレイアウトを決める
避難経路は建物の確認申請の前提です。図面が出発点です。
机の寸法だけで並べる
いすを引いた状態で通れるかを実測してください。
非常口の前に物を置く
避難上必要な施設を塞ぐことになります。
扉の開く向きを考えない
開いた扉が通路を塞ぐ配置は珍しくありません。
よくある疑問
結局、通路は何センチ空ければよいのですか。
車いすの利用者がいます。
収容人員は出社人数のことですか。
避難経路図はどこにありますか。
レイアウト案を消防署に見てもらえますか。
事務所のレイアウトと法令ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。