「2か月に1回」は、空調があるかどうかで中身が変わる
延べ面積3,000平方メートル以上の事務所ビルは、建築物衛生法の特定建築物です。空気環境の測定は、施行規則第3条の2第3号により「二月以内ごとに一回、定期に、測定すること。」とされています。ただし測る項目は、空気調和設備を設けているか、機械換気設備だけかで違います。
本サイトは一般的な整理です。実際に必要な届出・設備・寸法は、建物の用途・規模・構造によって変わります。着工前に必ず所轄の消防署と、建物の設計を担当した建築士(または内装業者)にご確認ください。
測る項目と基準値
施行令第2条第1号イは、7つの項目と基準を表で定めています。
建築物環境衛生管理基準(施行令第2条第1号イ・2026年9月13日確認)
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 一 浮遊粉じんの量 | 空気一立方メートルにつき〇・一五ミリグラム以下 |
| 二 一酸化炭素の含有率 | 百万分の六以下(6ppm) |
| 三 二酸化炭素の含有率 | 百万分の千以下(1,000ppm) |
| 四 温度 | 十八度以上二十八度以下/居室における温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと |
| 五 相対湿度 | 四十パーセント以上七十パーセント以下 |
| 六 気流 | 〇・五メートル毎秒以下 |
| 七 ホルムアルデヒドの量 | 空気一立方メートルにつき〇・一ミリグラム以下 |
出典:建築物衛生法施行令第2条第1号イ。条文は「おおむね当該各号の下欄に掲げる基準に適合するように」と書いています。
いちばん引っかかりやすいのは二酸化炭素です。1,000ppmは、人が増えて換気が追いつかないと簡単に超えます。座席を詰めたあとに測って基準を外れる、というのがよくある形です。
温度の欄には数値のほかに条件が書かれています。「外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと」。28度以下にすればよい、という条文ではありません。
2か月以内ごとに1回
施行規則第3条の2第3号は「次に掲げる区分に従い、それぞれ次に定める事項について、二月以内ごとに一回、定期に、測定すること。」としています。
「2か月に1回」ではなく「2月以内ごとに1回」です。前回から2か月を超えてはいけません。年6回が目安になります。
対象になるのは特定建築物です。施行令第1条は「店舗又は事務所」を含む用途の部分の延べ面積が三千平方メートル以上の建築物としています(学校等は八千平方メートル以上)。3,000平方メートルに届かない事務所ビルは、この測定義務の対象ではありません。→ 事務所が3,000㎡を超えたら保健所に届出
空調か換気かで項目が変わる
ここが見落とされやすいところです。同じ第3号が、設備の種類で測る項目を分けています。
設備の種類で測る項目が変わる(施行規則第3条の2第3号)
| 設備 | 測る項目 |
|---|---|
| イ 空気調和設備を設けている場合 | 第1号から第6号まで(浮遊粉じん・一酸化炭素・二酸化炭素・温度・相対湿度・気流) |
| ロ 機械換気設備を設けている場合 | 第1号から第3号まで及び第6号(浮遊粉じん・一酸化炭素・二酸化炭素・気流) |
出典:施行規則第3条の2第3号。機械換気設備だけの場合、温度と相対湿度は測定項目から外れます。
機械換気設備だけなら、温度と相対湿度は測らなくてよいことになります。空気を浄化して流量を調節できるだけで、温度や湿度を調節する機能がないからです。
施行令第2条第1号の定義も対応しています。空気調和設備は「空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給……をすることができる設備」、機械換気設備は「空気を浄化し、その流量を調節して供給をすることができる設備」です。
自分のビルがどちらかは、設備図か管理会社に確認してください。間違えると、測る必要のない項目にお金を払うか、必要な項目を落とすかのどちらかになります。
どこで測るか
施行規則第3条の2第1号は、測る場所と高さまで定めています。
「当該特定建築物の通常の使用時間中に、各階ごとに、居室の中央部の床上七十五センチメートル以上百五十センチメートル以下の位置において、……測定器を用いて行うこと。」
条文が定めている測定の条件
- 通常の使用時間中に測る(人がいない時間に測るのではない)
- 各階ごとに測る(代表の1フロアだけでは足りない)
- 居室の中央部で測る(壁際や窓際ではない)
- 床上75cm以上150cm以下の高さ(座っている人・立っている人の呼吸域)
「通常の使用時間中」という条件は重要です。人がいない早朝や夜間に測れば二酸化炭素は低く出ますが、条文に合いません。
測定器も条文で指定されています。一酸化炭素と二酸化炭素は「検知管方式による検定器」、温度は「〇・五度目盛の温度計」、相対湿度は「〇・五度目盛の乾湿球湿度計」、気流は「〇・二メートル毎秒以上の気流を測定することができる風速計」です。(同程度以上の性能を有する測定器を含む、とされています。)
平均値で見る項目がある
施行規則第3条の2第2号は、比較のしかたを定めています。
「令第二条第一号イの表の第一号から第三号までの上欄に掲げる事項について、当該各号の下欄に掲げる数値と比較すべき数値は、一日の使用時間中の平均値とすること。」
瞬間値で見るか、平均値で見るか
| 項目 | 比較のしかた |
|---|---|
| 浮遊粉じん・一酸化炭素・二酸化炭素 | 一日の使用時間中の平均値 |
| 温度・相対湿度・気流・ホルムアルデヒド | 平均値とする定めはない |
出典:施行規則第3条の2第2号。
二酸化炭素が昼どきに一時的に1,000ppmを超えても、それだけで基準を外れたことにはなりません。一日の使用時間中の平均で見ます。
逆に、温度と相対湿度には平均値の定めがありません。測った値そのもので見ることになります。
工事をしたらホルムアルデヒド
ホルムアルデヒドは、2か月ごとの定期測定には入っていません。施行規則第3条の2第4号が別に定めています。
「特定建築物の建築……、大規模の修繕……又は大規模の模様替……を行つたときは、当該建築等を行つた階層の居室における……ホルムアルデヒドの量……について、当該建築等を完了し、その使用を開始した日以後最初に到来する測定期間(六月一日から九月三十日までの期間をいう。)中に一回、測定すること。」
工事をしたときの順番
- ① 建築・大規模の修繕・大規模の模様替に当たるか確認する建築基準法第2条第13号〜第15号の定義によります。
- ② 工事を完了し、使用を開始する起点は「使用を開始した日」です。
- ③ 次の6月1日〜9月30日の間に1回測るこの期間が「測定期間」と定義されています。
- ④ 測るのは工事をした階層の居室建物全体ではありません。「当該建築等を行つた階層」です。
測定期間が夏に限られているのは、気温が高いほどホルムアルデヒドが出やすいからです。冬に工事を終えても、測るのは次の6月以降になります。
内装工事のときは、消防のほうの手当ても要ります。→ 消防計画に書く12項目/内装制限
よくある取りこぼし
3,000㎡未満なのに測定を発注していた
特定建築物は延べ面積3,000平方メートル以上(施行令第1条)。届出の対象から確認してください。
機械換気設備だけなのに温度と湿度も測っていた
施行規則第3条の2第3号ロは、第1号〜第3号と第6号だけを挙げています。
代表の1フロアだけ測っていた
条文は「各階ごとに」です。
人のいない時間に測っていた
条文は「通常の使用時間中に」です。
壁際や窓際で測っていた
条文は「居室の中央部の床上七十五センチメートル以上百五十センチメートル以下の位置」です。
二酸化炭素が一瞬でも1,000ppmを超えたら違反だと思った
第1号から第3号までは「一日の使用時間中の平均値」で比較します(第2号)。
2か月ごとの測定にホルムアルデヒドを入れていた
ホルムアルデヒドは工事をしたときだけ。6月1日〜9月30日に1回です(第4号)。
28度以下にすれば足りると思った
温度の欄には「外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと」も書かれています。
確認に使った一次情報
2026年9月13日に e-Gov法令検索で確認した条文です。測定の実施体制・報告の様式・保健所の運用は自治体ごとに異なります。所在地を管轄する保健所にご確認ください。
空気の通り道をふさがない配置に、什器から見直す
座席を詰めると二酸化炭素の濃度が上がります。配置は管理会社と設備業者にご確認ください。
- 価格・在庫・納期は各社公式サイトでご確認ください
- 設置できる什器は建物の条件により異なります
- 工事を伴う場合は所轄消防署への届出が必要になることがあります
事務所のレイアウトと法令ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。