条文は4つしかない。覚えれば足りる
簡易専用水道の管理基準は、水道法施行規則第55条に4つだけ書かれています。長い規則ではありません。ただし1号の「毎年一回以上」と、4号の「直ちに」という言葉には、実務で効く意味があります。
本サイトは e-Gov法令検索で確認した条文を整理したものです。届出の要否・様式・検査機関の選び方・自治体の上乗せ基準は、水道事業者(水道局)と保健所によって運用が異なります。実際の手続きは、お住まいの地域の水道局または保健所にご確認ください。
4つの管理基準
水道法施行規則第55条です。「法第三十四条の二第一項に規定する国土交通省令で定める基準は、次に掲げるものとする。」
簡易専用水道の管理基準(水道法施行規則第55条・2026年9月13日確認)
| 号 | 条文 |
|---|---|
| 一 | 水槽の掃除を毎年一回以上定期に行うこと。 |
| 二 | 水槽の点検等有害物、汚水等によつて水が汚染されるのを防止するために必要な措置を講ずること。 |
| 三 | 給水栓における水の色、濁り、臭い、味その他の状態により供給する水に異常を認めたときは、水質基準に関する省令の表の上欄に掲げる事項のうち必要なものについて検査を行うこと。 |
| 四 | 供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知つたときは、直ちに給水を停止し、かつ、その水を使用することが危険である旨を関係者に周知させる措置を講ずること。 |
出典:水道法施行規則第55条。4つで全部です。
1号と2号は日付や状態にかかわらず続ける管理、3号と4号は何かが起きたときの対応です。性格が違う2組が並んでいます。
水槽の掃除は毎年1回以上
第1号は「水槽の掃除を毎年一回以上定期に行うこと。」です。
「毎年一回以上」という書き方に注目してください。建築物衛生法の施行規則第4条第1項第7号は「一年以内ごとに一回」です。言葉が違います。
同じ「年1回」でも書き方が違う
| 法令 | 条文の言葉 | 読み方 |
|---|---|---|
| 水道法施行規則 第55条第1号 | 毎年一回以上定期に | 年(暦年)ごとに1回以上 |
| 建築物衛生法施行規則 第4条第1項第7号 | 一年以内ごとに一回 | 前回から1年を超えない間隔で |
出典:水道法施行規則第55条、建築物衛生法施行規則第4条第1項第7号。両方の法律が適用される建物では、双方の義務を満たす必要があります。
両方の法律が適用されるビルでは、両方の義務を満たす必要があります。結果として「前回から1年を超えない」運用になります。→ 貯水槽の清掃は年1回か6か月か
「以上」なので、年2回やっても構いません。下限を定めた規定です。
汚染を防止する措置
第2号は「水槽の点検等有害物、汚水等によつて水が汚染されるのを防止するために必要な措置を講ずること。」です。
頻度は書かれていません。「必要な措置」とだけあります。
条文から読み取れること
- 「水槽の点検【等】」:点検は例示で、それに限られない
- 「有害物、汚水等によつて」:汚染の原因が例示されている
- 「防止するために必要な措置」:結果として汚染を防げばよい
建築物衛生法にも同じ形の条文があります。施行規則第4条第1項第2号「貯水槽の点検等有害物、汚水等によつて水が汚染されるのを防止するため必要な措置」。ほぼ同じ文言です。
異常を認めたとき
第3号は、気づいたときの検査を定めています。
「給水栓における水の色、濁り、臭い、味その他の状態により供給する水に異常を認めたときは、水質基準に関する省令の表の上欄に掲げる事項のうち必要なものについて検査を行うこと。」
「色、濁り、臭い、味」は器具がなくても分かります。条文は、日常の気づきを検査の入口にしています。
「必要なものについて」とあるので、水質基準省令の全項目を測る必要はありません。異常の内容に応じて選びます。
直ちに給水を停止する
第4号がいちばん強い規定です。
「供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知つたときは、直ちに給水を停止し、かつ、その水を使用することが危険である旨を関係者に周知させる措置を講ずること。」
第4号が求める順番
- ① 健康を害するおそれを知る「知つたとき」が起点です。検査結果が出てから、ではありません。
- ② 直ちに給水を停止する「直ちに」。原因を調べてから止めるのではありません。
- ③ 危険である旨を関係者に周知させる停止と同時に、使ってはいけないことを伝えます。
「かつ」でつながれているので、停止と周知は両方やります。止めただけでは足りません。
この4号も、建築物衛生法施行規則第4条第1項第8号とほぼ同じ文言です。水を扱う制度に共通する考え方だと分かります。
よくある取りこぼし
掃除を「1年以内ごと」と覚えていた
水道法施行規則第55条第1号は「毎年一回以上定期に」です。建築物衛生法とは書き方が違います。
管理基準を守っていれば検査は不要だと思った
法第34条の2第1項(管理)と第2項(検査を受ける)は別の義務です。
水の異常に気づいたが、次の定期検査まで待った
第3号は、異常を認めたときに必要な項目の検査を行うこととしています。
健康被害のおそれを知ったが、原因を確かめてから止めようとした
第4号は「直ちに給水を停止し」です。
給水を止めたが、関係者への周知をしなかった
「かつ……周知させる措置を講ずること」。両方が求められています。
第2号に頻度があると思って探した
第2号に頻度の定めはありません。「必要な措置」とだけ書かれています。
確認に使った一次情報
- 水道法 第3条第7項(簡易専用水道の定義)/第34条の2(管理と検査)/第34条の3(検査の義務)e-Gov法令検索
- 水道法施行令 第1条(専用水道の基準)/第2条(簡易専用水道の適用除外の基準)e-Gov法令検索
- 水道法施行規則 第55条(管理基準)/第56条(検査)e-Gov法令検索
2026年9月13日に e-Gov法令検索で確認した条文です。自治体が条例で上乗せの基準を定めていることがあります。お住まいの地域の水道局または保健所にご確認ください。
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