区分は引き算で決まる。先に産廃かどうかを見る
法第2条第2項は「この法律において『一般廃棄物』とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう」としか書いていません。一般廃棄物に「これが一般廃棄物です」という積極的な定義はありません。だから、判断の順番は決まっています。まず産業廃棄物にあたるかを見て、あたらなければ一般廃棄物です。
本サイトは e-Gov法令検索で確認した条文を整理したものです。どの業者に頼めるか・料金・分別区分・搬出のルールは、市町村ごとに異なります。とくに事業系一般廃棄物は、具体的な運用の大半が市町村の一般廃棄物処理計画と条例で決まります。実際の手続きは、事業所のある市町村の廃棄物担当課にご確認ください。
引き算の定義
法第2条第4項は、産業廃棄物を次のように定めています。「一 事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物」(第2号は輸入された廃棄物)。
ここに書かれている6種類は、条文に直接書かれている=業種の限定がありません。「その他政令で定める廃棄物」の中身が施行令第2条で、ここに業種限定のあるものが混ざっています。
産業廃棄物の決まり方(2階建て)
| どこに書いてあるか | 何が挙がっているか | 業種の限定 |
|---|---|---|
| 法第2条第4項第1号 | 燃え殻・汚泥・廃油・廃酸・廃アルカリ・廃プラスチック類 | なし |
| 施行令第2条第1号〜第3号 | 紙くず・木くず・繊維くず | あり |
| 施行令第2条第5号〜第8号 | ゴムくず・金属くず・ガラスくず等・鉱さい | なし |
| 施行令第2条第4号 | 食料品製造業等で原料として使用した動植物の固形不要物 | あり |
| 施行令第2条第9号 | 工作物の新築・改築・除去に伴うコンクリートの破片等 | 工事に伴うものに限る |
2026年9月13日に e-Gov法令検索で確認しました。施行令第2条は第13号まであります。上表は事務所で関係しやすいものを抜き出したものです。
業種限定のあるものとないもの
施行令第2条第1号の紙くずは、括弧の中が長いので読みにくいのですが、要するに次の業種から出た紙くずだけが産業廃棄物です。
紙くずが産業廃棄物になる業種(令第2条第1号)
- 建設業に係るもの(工作物の新築・改築・除去に伴って生じたものに限る)
- パルプ、紙又は紙加工品の製造業
- 新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うものに限る)
- 出版業(印刷出版を行うものに限る)
- 製本業
- 印刷物加工業
- ポリ塩化ビフェニルが塗布され、又は染み込んだもの
一般的な事務所は、このどれにもあたりません。だから事務所から出る紙くずは、引き算の結果として事業系一般廃棄物になります。
木くず(第2号)と繊維くず(第3号)にも、同じように業種の限定があります。木くずは建設業・木材/木製品製造業・パルプ製造業・輸入木材の卸売業・物品賃貸業、それに貨物流通用のパレット。繊維くずは建設業と繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業を除く)です。
逆に、廃プラスチック類には業種の限定がありません。法第2条第4項第1号に直接書かれているからです。事務所から出たビニール袋・梱包材・壊れたプラスチック什器は、産業廃棄物にあたります。
事務所で出るものの区分
事務所から出るものの、条文上の区分
| 出るもの | 根拠 | 区分 |
|---|---|---|
| コピー用紙・書類・段ボール | 令第2条第1号の業種にあたらない | 事業系一般廃棄物 |
| ビニール袋・梱包用フィルム | 法第2条第4項第1号「廃プラスチック類」 | 産業廃棄物 |
| 壊れたプラスチック製の椅子 | 同上 | 産業廃棄物 |
| スチール製の書庫・キャビネット | 令第2条第6号「金属くず」 | 産業廃棄物 |
| 割れたガラス・陶器のカップ | 令第2条第7号 | 産業廃棄物 |
| 生ごみ・弁当がら | 令第2条第4号の業種にあたらない | 事業系一般廃棄物 |
| 木製の机(製造業でない事務所) | 令第2条第2号の業種にあたらない | 事業系一般廃棄物 |
| 使用済みの蛍光灯 | 水銀使用製品産業廃棄物にあたる場合がある | 市町村・都道府県に確認 |
条文から機械的に読める区分を並べたものです。複数の素材が組み合わさった什器は、部材ごとに区分が変わります。実際の取り扱いは、市町村の廃棄物担当課と委託先の業者にご確認ください。
なぜ業種で分けるのか
条文はその理由を書いていないので、ここでは断定しません。ただ、区分の実務上の効果ははっきりしています。
区分が変わると何が変わるか
| 項目 | 事業系一般廃棄物 | 産業廃棄物 |
|---|---|---|
| 委託先の許可 | 一般廃棄物収集運搬業/処分業(法第7条) | 産業廃棄物収集運搬業/処分業(法第14条) |
| 許可を出す人 | 市町村長 | 都道府県知事等 |
| 委託の基準 | 令第4条の4 | 法第12条第6項・令第6条の2 |
| 管理票(マニフェスト) | 法に規定なし | 法第12条の3 |
| 保管の基準 | 排出事業者向けの法定基準なし | 法第12条第2項・規則第8条 |
2026年9月13日に e-Gov法令検索で確認しました。本サイトは産業廃棄物の許可申請や管理票の実務には踏み込みません。
保管の基準がここまで違う点は、見落とされやすいところです。→ 事業系一般廃棄物に全国一律の保管基準はない
状況別の考え方
印刷会社の事務室から出た紙くず
建設会社の事務所から出た書類
段ボールを古紙回収に出している
オフィスの引っ越しで机・椅子・書庫をまとめて処分する
飲食店の厨房から出た食品残さ
よくある取りこぼし
「事業活動から出たものは全部産業廃棄物」だと思っていた
引き算の定義です(法第2条第2項)。産廃に列挙されていなければ一般廃棄物です。
紙くずは業種に関係なく産廃だと思っていた
令第2条第1号に業種の限定があります。一般的な事務所の紙くずは事業系一般廃棄物です。
プラスチックも事業系一般廃棄物だと思っていた
廃プラスチック類は法第2条第4項第1号に直接書かれていて、業種の限定がありません。
区分が変わっても委託先は同じだと思っていた
許可の種類が違います。一般廃棄物は市町村長、産業廃棄物は都道府県知事等が許可を出します。
業種は会社の登記上の業種で決まると思っていた
条文は「〜に係るもの」という書き方です。どの活動から生じたかで見ます。線引きは自治体の運用によります。ご確認ください。
蛍光灯や電池も普通の一般廃棄物だと思っていた
水銀を使用した製品は別の区分が設けられていることがあります。市町村・都道府県にご確認ください。
よくある疑問
どちらか分からないときは誰に聞けばいいですか
一つの袋に混ざってしまったらどうなりますか
「専ら再生利用の目的となる廃棄物」とは何ですか
事業系一般廃棄物という言葉は条文にありますか
特別管理一般廃棄物とは何ですか
確認に使った一次情報
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第2条(定義)/第3条第1項(事業者の責務)/第6条の2第4項〜第7項(市町村の処理等)/第7条(一般廃棄物処理業)/第11条(事業者及び地方公共団体の処理)/第12条(事業者の処理)/第12条の3(産業廃棄物管理票)e-Gov法令検索
- 同法施行令 第2条(産業廃棄物)/第3条(一般廃棄物の収集、運搬、処分等の基準)/第4条の4(事業者の一般廃棄物の運搬、処分等の委託の基準)/第6条(産業廃棄物の基準)e-Gov法令検索
- 同法施行規則 第8条(産業廃棄物保管基準)e-Gov法令検索
2026年9月13日に e-Gov法令検索で確認した条文です。市町村が条例・一般廃棄物処理計画で独自の区分や手続を定めています。事業所のある市町村の廃棄物担当課にご確認ください。
什器を入れ替えるときは、処分の区分も先に決めておく
什器の素材で処分の区分が変わります。処分方法は委託先の業者にご確認ください。
- 価格・在庫・納期は各社公式サイトでご確認ください
- 設置できる什器は建物の条件により異なります
事務所のレイアウトと法令ガイドの記事一覧
- 4つの法律の地図
- 消防署への届出
- 間仕切りの選び方
- 防火管理者は要るか
- 照度・温度・トイレ
- 什器の耐用年数と経費
- 防災管理者
- 防火対象物点検
- 甲種防火管理再講習
- 統括防火管理者
- 防炎物品
- 特定建築物の届出
- 自衛消防組織
- 消防計画
- 消防訓練
- 空気環境測定
- 飲料水と貯水槽の管理
- ねずみ等の防除
- 大掃除と排水設備の掃除
- 建築物環境衛生管理技術者
- 用途変更の確認申請
- 通路幅と収容人員
- 消防設備の点検と報告
- 内装制限と防火設備
- 事務所の喫煙室は何をすれば足りるか
- 簡易専用水道とは
- 簡易専用水道の管理基準
- 簡易専用水道の検査
- 貯水槽の清掃の頻度
- 事業系一般廃棄物の基本
- 事業系ごみの保管
- 委託先の許可の確認
- 多量排出事業者の計画
- 分別と協力義務
- 騒音規制法の特定施設
- 特定施設の設置届
- 数・防止方法の変更届
- 氏名変更・廃止の届出
- 承継の届出
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