備蓄したことで消防法令の違反になることがある
3日分×人数の物資は、想像よりかさばります。置き場所を決めずに買うと、廊下や階段の踊り場に積むことになります。そこが避難通路なら、本末転倒です。
置いてはいけない場所
東京都の帰宅困難者対策ハンドブックは、保管について次のように注意しています。
保管されている備蓄品が避難通路を塞ぐ障害物となる等、消防法令等の違反状態とならない
東京都帰宅困難者対策ハンドブック
具体的にどこが避難通路にあたるかは、建物の図面と、所轄消防署の判断で決まります。本サイトでは「ここなら大丈夫」という判定はしません。ただし、次の場所は避けるべきものとして広く知られています。
避けたほうがよい場所
- 廊下・階段・踊り場(避難経路そのもの)
- 非常口の前、防火扉の可動範囲
- 消火器・消火栓・排煙口の前(使えなくなる)
- 避難器具(避難はしご・救助袋)の設置場所
- 自動火災報知設備の感知器の近く(天井まで積むと作動に影響しうる)
迷ったら所轄の消防署(予防課)に図面を持って相談してください。事務所の内装と消防の関係は、消防への届出のページでも扱っています。
本サイトは東京都および内閣府の公表内容を整理したものです。備蓄の要否・数量の考え方は自治体の条例やガイドラインによって異なります。事業所の所在地の自治体(防災担当課)でご確認ください。
分散して置く
ハンドブックは、高層ビルについて次の考慮を挙げています。
高層ビルに所在する企業等において、エレベーターが停止した場合に備え、備蓄品の保管場所を分散させておくことを考慮
東京都帰宅困難者対策ハンドブック
1か所にまとめると、停電でエレベーターが止まったときに運べません。10階建てのビルで地下倉庫に全部置いていたら、上階の人には届きません。
→ 図は横にスクロールできます
- 1か所にまとめる管理は楽。停電時に運べない
- フロアごとに分ける運ばずに済む。管理する人が増える
- 部署ごとに分ける誰の分か分かりやすい。数の把握が難しくなる
- 個人に配る確実に手元にある。期限管理ができなくなる
どこまで分けるかは、建物の階数と管理できる人数で決めます。分けるほど期限管理の手間が増えます。
分けるほど期限管理が難しくなります。フロアごとが現実的な落としどころです。
棚に入れる
床に平置きすると面積を食い、地震で散乱します。棚やロッカーに入れて縦に使うと、同じ面積で量が入ります。ただし条件があります。
収納するときの確認項目
| 項目 | なぜ要るか |
|---|---|
| 転倒防止 | 地震で棚が倒れると、備蓄品が使えないだけでなく避難の妨げになります |
| 扉付きか、落下防止バーがあるか | 揺れで中身が飛び出します |
| 重いものを下に | 水は重い。上段に置くと重心が上がって倒れやすくなります |
| 中身が分かる表示 | 災害時に探している時間はありません |
| 賞味期限の表示 | 扉を開けずに期限が分かる形にします |
転倒防止の方法(壁固定・連結・ストッパー)は、建物の構造と什器によって変わります。施工者にご確認ください。
備蓄品を縦に収納できる棚・ロッカーを見る
転倒防止と、避難通路を塞がない配置が前提です。設置条件は施工者と所轄消防署にご確認ください。
- 価格・在庫・納期は各社公式サイトでご確認ください
- 設置できる什器は建物の条件により異なります
- 保管場所が避難通路を塞がないようご注意ください
テナントビルの共用部と専有部
ビルの一部を借りている場合、置ける場所が2つに分かれます。扱いがまったく違うので、混同しないでください。
共用部と専有部の違い
| 専有部(自社の借りている区画) | 共用部(廊下・階段・エントランス等) | |
|---|---|---|
| 誰が決めるか | 自社。ただし賃貸借契約の範囲内 | 建物の管理会社・所有者 |
| 避難経路との関係 | 区画内の避難動線を塞がないこと | 共用部そのものが避難経路であることが多い |
| 置けるか | 条件を満たせば置ける | 原則として認められないことが多い |
| 聞く相手 | 所轄消防署・施工者 | まず建物の管理会社 |
共用部に置きたい場合は、必ず建物の管理会社に相談してください。無断で置くと撤去を求められます。
そしてビル全体としての備蓄がある場合もあります。入居時に確認しておくと、自社で用意する量が変わることがあります。「ビルとして備蓄はありますか」と管理会社に聞いてください。
鍵と、取り出す人
実務でいちばん抜けるところです。鍵がかかっていて開けられない、という状態が起きます。
決めておくこと
- 備蓄品の保管場所の鍵を誰が持っているか
- その人が不在のとき、誰が開けられるか(代理を必ず決める)
- 鍵の予備をどこに置くか
- 夜間・休日に災害が起きたとき、誰が対応するか
- フロアごとに分散している場合、各フロアの担当者は誰か
「不在時の代理」を全部に決めてください。災害は担当者が出社している時間に起きるとは限りません。
よくある失敗
廊下や階段の踊り場に積む
避難通路を塞ぐと消防法令等の違反状態になり得ます。
地下倉庫に全部まとめる
停電でエレベーターが止まると上階に運べません。
床に平置きする
面積を食い、地震で散乱します。
重い水を棚の上段に置く
重心が上がり、倒れやすくなります。
鍵の管理者を1人しか決めない
その人が不在なら配れません。
何がどこにあるか表示しない
災害時に探す時間はありません。
よくある疑問
倉庫がありません。どこに置けばよいですか。
テナントビルですが、共用部に置けますか。
備蓄品を個人に配ってもよいですか。
棚の転倒防止はどうすればよいですか。
消防署に相談すると指摘されませんか。
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一次情報の確認先
本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。