本ページはアフィリエイト広告を利用しています。掲載情報は公的機関および各社公式サイトの公表内容にもとづきます。

備蓄は手段。目的はその日、帰らせないこと

備蓄品のリストから入ると、何のためにやっているのかが見えなくなります。条例が求めているのは「一斉帰宅の抑制」で、備蓄はそのための手段です。順番を戻してください。

このページの内容
  1. 条例が求めていること
  2. なぜ帰らせないのか
  3. 具体的に何をするのか
  4. 安否確認をどうするか
  5. 決めておくこと
  6. 学校の場合
  7. よくある失敗
  8. よくある疑問

条例が求めていること

東京都帰宅困難者対策条例(平成25年4月1日施行)は、事業者について次のように定めています。

事業者は、大規模災害の発生時において、管理する事業所その他の施設及び設備の安全性並びに周辺の状況を確認の上、従業者に対する当該施設内での待機の指示その他の必要な措置を講じることにより、従業者が一斉に帰宅することの抑制に努める

東京都帰宅困難者対策条例 第7条

読むと、3つのことを求められていると分かります。

条文が求めている3つのこと

何を条文の言葉実務でやること
① 確認する施設及び設備の安全性並びに周辺の状況を確認の上建物と周辺が安全かを見る。誰が見るか決めておく
② 指示する従業者に対する当該施設内での待機の指示「帰らずに待機してください」と伝える。伝える手段を決めておく
③ 備える(第2項)従業者の三日分の飲料水、食糧その他…を備蓄3日分の物資をそろえる

備蓄(③)だけをやっても、①②が決まっていなければ機能しません。

本サイトは東京都および内閣府の公表内容を整理したものです。備蓄の要否・数量の考え方は自治体の条例やガイドラインによって異なります。事業所の所在地の自治体(防災担当課)でご確認ください。

なぜ帰らせないのか

災害直後に大勢が一斉に徒歩で帰ろうとすると、次のことが起きます。

①道路が人であふれ、救助・消火・救急の車両が通れなくなる。
②余震による建物からの落下物、ブロック塀の倒壊などの二次被害に遭う。
③駅や幹線道路に人が滞留し、群衆事故の危険が生じる。

つまり「帰らせないこと」は従業員のためであると同時に、街全体のためでもあります。この理解があると、社内で説明するときに通ります。

具体的に何をするのか

災害発生から、待機・帰宅までの流れ

  1. ① 安否と所在を確認するその時点で誰が社内にいるか。外出中の人はどこにいるか。
  2. ② 建物と周辺の安全を確認する誰がどう確認するかを決めておかないと、この段階で止まります。
  3. ③ 待機を指示する伝える手段(館内放送・チャット・メール)を複数用意しておきます。
  4. ④ 備蓄品を配る誰がどこから出すか。鍵の管理者が不在のときはどうするか。
  5. ⑤ 情報を集める交通機関の復旧状況、道路の状況。
  6. ⑥ 帰宅の判断をする安全が確認できてから、時間差をつけて帰す。誰が判断するかを先に決めます。

この6段階のうち、備蓄が効くのは④だけです。残りは物ではなく、決めごとです。

安否確認をどうするか

手順の①「安否と所在を確認する」は、実際にやろうとすると難しい部分です。電話は輻輳してつながらず、担当者も被災しています。

安否確認の手段と、それぞれの弱点

電話・携帯電話

災害直後は輻輳してつながらないことが多いです。第一の手段にはできません。

チャット・メール

パケット通信は音声通話より通じやすいとされますが、停電やスマートフォンの電池切れで使えなくなります。

安否確認システム

一斉配信して回答を集める仕組みです。導入しても、訓練で使っていないと回答率が上がりません。

災害用伝言板・伝言ダイヤル

通信事業者が災害時に提供する仕組みです。使い方を平時に周知しておかないと、その場では使えません。

あらかじめ決めた集合場所

通信に頼らない方法です。連絡がつかないときの最後の手段として決めておく価値があります。

1つに頼らないことが要点です。手段を2つ以上決めて、どの順で試すかまで書いておいてください。そして年に一度は実際に流してみること。使ったことのない仕組みは、当日に使えません。

決めておくこと

紙1枚にまとめておくと動ける

「不在時の代理」を全部の項目に書いてください。災害は担当者がいる時間に起きるとは限りません。

掲示物や備蓄の管理に使う什器を見る

手順を掲示する場所や、備蓄品の保管方法は建物の条件によります。避難通路を塞がない配置にしてください。

掲載内容は各社公式サイトの公表値です。効果には個人差があります。広告(PR)を含みます。

学校の場合

条例は学校等についても定めを置いています。

設置し、又は管理する施設及び設備の安全性並びに周辺の状況を確認の上、幼児、児童、生徒等に対し、当該施設内での待機の指示その他安全確保のために必要な措置を講じるよう努める

東京都帰宅困難者対策条例 第9条

考え方は事業者と同じです。安全を確認し、施設内での待機を指示する。保護者への連絡と引き渡しの手順が加わる点が違います。

よくある失敗

備蓄だけをそろえて満足する

条文は確認・指示・備蓄の3つを求めています。決めごとがなければ配れません。

担当者を1人しか決めない

その人が出張中なら止まります。全項目に代理を決めてください。

連絡手段を1つしか用意しない

停電や輻輳で使えなくなります。

備蓄品の鍵を1人しか持っていない

配れません。

帰宅判断の基準を決めていない

「そろそろ帰っていいですか」に答えられません。

よくある疑問

何時間待機させればよいですか。

条例は時間を定めていません。安全が確認できるまでという考え方です。備蓄は3日分とされていますが、3日間必ず待機させるという意味ではありません。

従業員が「帰りたい」と言ったらどうしますか。

指示は強制ではありません。ただし危険性を説明したうえで判断してもらうのが筋です。判断の記録を残しておくと、後で説明できます。

近隣の人が入ってきたらどうしますか。

受け入れるかどうかは各社の方針です。受け入れる場合は備蓄の量も変わります。東京都には一時滞在施設の制度があるので、関心があれば自治体にご確認ください。

在宅勤務の従業員はどうなりますか。

そもそも出社していなければ帰宅困難になりません。ただし安否確認の対象には含まれます。

小さな会社でもやるべきですか。

条例は規模で線を引いていません。人数が少ないほど、決めごとは紙1枚で済みます。

事業所の防災備蓄ガイドの記事一覧

一次情報の確認先

本ページの前提となる制度・統計は、以下の公的機関等の公表情報で確認できます。最新の内容は必ず各機関の公式ページでご確認ください。

関連する情報サイト